Re: 個人事業廃業に関して。
2008/07/24 22:32
個人事業者ということは、「所得税」と「消費税」の申告が問題になりますね。
個人事業者の場合、所得税でも消費税でも、決算は12月31日ですので、最後の申告納税はどちらも来年の確定申告ということになります。
ということは、今年の8月15日に廃業しても、12月31日に廃業したことにしても同じなので、税務署に対する廃業届の提出はなるべく遅いほうがよいでしょう。
実際には8月15日に事業を止めてしまっていても、その後の残務整理があるとか何とか言って、届出書上の廃業日は年末近くまでずるずる延ばしておくのです。
来年の最後の確定申告書と一緒に廃業届を提出してもよいでしょう。
まあ、ここだけの話ですが。(笑)
なぜ遅くしたほうがよいかというと、事業所得の計算上、廃業後に生じた経費は「必要経費」にならない、と税務署に言われると困るからです。
一応、所得税法上は特例が設けられており、廃業後にかかった経費でも、事業を継続していれば当然かかっていたであろう必要経費については、廃業年に計上することができるようになっています。
とはいえ、細かい点に関しては、廃業後の経費として認められるか認められないかは、税務署と納税者の間で「見解の相違」が生じることも珍しくありませんから、私だったら、廃業日そのものを最初から年末に設定して届出書を提出しておきますね。
また所得税法上、個人事業税については、廃業年度の所得を基に個人事業税を計算し、その見積金額を必要経費にすることが認められています。
実際には来年になって事業税の通知書がこないと事業税額はわかりませんが、しかし来年はもう事業をやっていませんので、来年の必要経費にはできません。
そこでだいたいの金額を見積もりで計算して、今年の必要経費にしてしまうのです。
参考:所得税法基本通達37-7
(事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/06.htm
来年の確定申告のときは、前回の確定申告の控えと事業税の通知書を用意して、ここに書いてある計算式をよくみて事業税の見積もり計算をしてください。
それから、商品の在庫は残しておくとマズイです。
廃業日までに全部売るなり捨てるなりして処分しておきましょう。
もしも自分で使うために残しておく場合には、「自家消費」という扱いになります。
この場合には、その商品の仕入れた原価を「仕入」(必要経費)から抜いておきます。
仕訳でいうと、「仕入」から「事業主」へ振替仕訳します。
事業主 *** / 仕入***
もし「自家消費」する商品の原価を「仕入」(必要経費)から抜く(振替える)のを忘れていると、「仕入」からマイナスしなかった代わりにその商品を「売上」に計上しなくてはなりません。
税法上は自分で自分に販売したことにするわけですね。
仕訳としては、
事業主 *** / 売上***
となります。
この売上を計上する方法はあとあと損する危険性があるので、私はお勧めしません。
それよりも、ちゃんと「自家消費」する商品の原価をあらかじめ「仕入」(必要経費)から抜いておく方法を私はお勧めします。
このようにいずれかの方法で自家消費の処理をした場合には、その商品は手元にあっても在庫として年末時点での棚卸高(期末商品棚卸高)には数えません。
なぜならば、それはもはや事業所得とは関係がないプライベートなものだからです。