【疑問1】
全くあなたの仰るとおりです。
今後手形所持人が直接御社に手形を呈示したときは、手形と引き換えに手形金額を支払うわけで、それは手形決済以外の何物でもなく、未払金の清算ではありません。この手形決済をするか時効を迎えるまでは、手形債務は消える事がないわけですから、手形債務を記録するために立てた支払手形勘定を、原因もなく、実際消えたわけでもないのに消しこむのでは、立てた意味がありませんし、支払手形勘定を残しておかないと、決済の処理ができません。
また未払金は手形振り出しの動機となった、手形受取人に対する原因債務のはずです。手形が裏書譲渡されていれば、手形金は所持人に支払う事になりますが、それをもって受取人に対する未払金の清算とみなすならば最初から支払手形勘定など必要ない事になります。さらに、支払手形勘定を消してしまったら、表示される受取人に対する未払金は、手形と引き換えに支払うべき債務とそうでない債務が混在する事になり、二重支払の危険が生じる恐れもあります。

【疑問2】
困った上司ですね。
裏書人に請求できるのは原則として、呈示期間に適法な呈示をした上で不渡りになったときだけです。
呈示期間に適法な呈示をしなければ、裏書人に対する権利は失われます(手形法53条1項2号3号)。
つまり呈示を怠ったD社はB社やC社に請求することができず、A社に請求するほかありません。
上司の考え方は裏書譲渡の意義を真っ向から否定するもので、手形とはどういうものか、全然理解していないと思われます。だいたいD社のミスのせいでなんでB社やC社がそんな面倒に巻き込まれなきゃならないのか、常識でわかってほしいところですね。
そういうわけでやっぱりあなたが正解です。