一言で言えば、実際原価による計算が面倒だからです。
材料単価は変動しますから、たとえば総平均法を採っている場合は途中で単価が判明しません。

それから、これは原価に対する考え方ですが、管理上は予定原価をもって「正」としているのです。
会計上は実際原価が正です。
予定価格を使っている場合、現実には
「予定価格」×「予定数量」(A)
という見積もりがあり、実際作業の過程で
「予定価格」×「実際数量」(B)
という計算が行われ、会計上は原価差異を考慮した
「実際価格」×「実際数量」(C)
をもって完結、という3段階が存在します。
現場レベルでは、どれだけ材料費がかかったか、というのは、どれだけ材料を使ったか、であって、それはAとBとの比較です。
単価は作業現場でコントロールできることではないので、現場としては単価を固定することで、つまり変動要因を固定化したほうが管理しやすい一面があります。